中世の街を包み込む、魑魅魍魎の闇の世界
電気の照明が登場するずーっと以前、「夜」という時間は、闇そのものを意味していたようです。
その圧倒的な闇に支配される「夜」という時間は、どちらかというと怖れを持って忌み嫌ういやーな時間であったようです。といってもこれは屋外の世界のことで、扉を閉じた室内では、むしろ豊かな光の文化が育っていた時代だったのです。
昔々、街が城塞に囲まれていた頃のお話です――
時はさかのぼって15世紀。中世ヨーロッパの街では、何世紀にもわたる異民族による侵略がくり返されたため、ほとんどの都市は城塞でぐるりと囲む形をとっておりました。
街を守る城壁にはいくつかのゲートがあって、誰もがこの門をくぐって行き来をしていたのです。そしてその門は、「カーフェー」と呼ばれる閉門の時間が訪れると、完全に閉められたのでした。
城塞都市の夜は、外敵の侵入を完全にシャットアウトして城塞の内側に流れる静かな夜を担保していたのです。さらにその都市の中でも、「カーフェー」の時間以降は、悪漢や犯罪者のみが徘徊する魔の時間でした。善良な市民は、夜は家の扉にしっかりと鍵をかけ、安全な暮らしを守っていたのです。
インテリアから石壁一枚を隔てた向こう側の世界にはいつも魑魅魍魎の世界が広がっている・・・この時代の人々にとって、「夜」とはそんな、怖れをともなう時間だったのです。
壁で守られた安全なインテリア空間、そして照明文化
この時代のヨーロッパ人の住まいには、私たちが想像する以上に暖かくて豊かな時が流れていたようです。
フェルメールの絵画(17世紀ですが)に見られるように、キャンドルを灯し、神への祈りをささげ、家族が語らい、食を楽しみ、そして明日へのエネルギーを蓄える・・・そんな美しい時空間となっていたのです。
ここには、夜の外部空間が持つネガティブイメージがまったくありません。
こうしたインテリアの内側と外側とが見事に対比する夜の都市環境は、キャンドルやインテリアの照明文化を発展させた要因のひとつともいわれています。
部屋の明かりの意味が、こうした歴史を経て今に至っているということを知ると、日頃、私たちが当たり前のように点けている照明について、もう一度考え直してみたくなりませんか?
中世ヨーロッパに学ぶ、夜の照明とのつき合い方
暗さが私たちにもたらすものについて考えてみる
中世の人々が私たちに教えてくれているのは、夜は昼の光環境にはまったく異なった意味があるということです。そう考えてみると、「暗いから明るくしよう」という現代的な発想には、少し問題があるのかもしれません。
夜の暗さからは、昼間ではなかなか得られない「安らぎ」や、相手の心の奥を察する思いやり、将来の夢について語るひとときなどを得ることができるものなのです。
夜の光環境は、人にとって本質的ともいえる「心の豊かさ」を育んでくれるといってもいいでしょう。昼の明るさと夜の暗さ、光がもたらすふたつの時空間の意味を、私たちはもっと理解して取り入れていくべきかもしれませんね。
2008年のスタートは、モノや情報に翻弄されがちともいえる私たちの暮らしをもう一度見つめ直して、「夜」という時間をどう過ごしていくか、問いかけてみることから始めてみませんか?
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三井の住まいへ
言われてみると、確かに中世ヨーロッパには
少し暗いイメージがあるような気がします。
映画でも、少し暗い感じで撮っていますよね?
なんだか光のおとぎ話を知ったみたいで
面白いですね!
今年も楽しい光のお話を、楽しみにしています☆