私たち人間がモノを目で見るということは、モノの表面から反射されてきた光を目でとらえ、脳に伝える知覚現象です。
室内でより高い照明効果を得たいと考えるのなら、光を発する照明器具へのこだわりとともに、壁や天井からの光の反射率についても大いに気にしなければなりません。
たとえば同じ条件で照明を設置する場合、白い内装のほうが黒い内装の部屋に比べて明るく感じるという現象が起こるのですが、これは内装の色を白くするか黒くするかという選択肢が、照明演出の立場で考えると“反射率を高めるのか低くするのか”という意味になるわけなのです。
白い内装と黒い内装、どれだけ違う?
では、数値でお話ししてみましょう。
白い内装材の反射率は約80%です。つまり内装材にあたった光の8割が反射してくるという意味です。一方黒い内装材の反射率は約5%なので、0.5割の光しか反射されません。
これは言葉を換えると、白い内装の部屋は明るくすることも暗くすることもできるけれども、黒い内装の部屋だと暗くすることができても明るくすることは難しい、ということになります。
天井をアッパーライトで照らして空間を広く見せるワザも、キャンドルの炎の繊細さも、内装が白ければ白いほど最大限に発揮されるわけですね。
黒い内装が表現する光とは・・・
ところで、私は、かつて黒い内装で光の演出を試みたことがあります。
その仕事は小さなバーの照明デザインでした。10坪程度の小さなお店だったので、何とか光で広く見せることができないか? と考えました。お話の流れからすれば、当然“広く見せる”には白い内装材を使うだろうと予測されますが、そうは問屋がおろしません。
私は、あえて黒い内装を採用したのです。冒頭の写真にもあるように、店内は本当に真っ黒な空間に仕上がりました。
照明効果を生かす内装の考え方
失敗が少ないのは白。でも黒い内装にも特別な効果が
実は、私がそこに作りたかったのは「闇」でした。床も壁も天井も、一面真っ黒な空間は、照明のテクニックによってどこまでも「闇」が広がっているかのように見せることもできるのです。
目の前から50cmの所にはもう壁があるのですが、「闇」のおかげで無限に広がり続ける空間に佇んでいるような錯覚に陥れるわけです。
ここでは「闇」という照明術を逆手にとって、実際の空間の大きさを感じさせない空間演出を試してみたのです。
この事例は極めて特殊で難易度の高いデザインですが、照明と内装の関係って、こんなふうに奥深いものだと考えています。もし、内装をどうしようかと悩んでいらっしゃる方は、ぜひとも白い内装を選択してください。
そのほうが失敗はないでしょう。明かりの変化を大いに楽しむことができる色ですから。
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