そのためには自分自身が感動できる光に出会うことが大切だと考え、20年近く前からときおり光の取材旅行に出かけています。
アラスカにあるオーロラ・ウォッチングのメッカ、チェナホットスプリングスへ赴いたのも、光の取材のためです。マイナス度という極寒の地には、自然が作り出す神秘的な光の世界が広がっていました。
緯度60〜70度付近に現れる「ノーザン・ライト」
アラスカ州第2の都市・フェアバンクスから車で1時間半ほど走ったところにあるチェナホットスプリングスは、ゴールドラッシュの時代、金鉱を掘る労働者のための湯治場として知られていました。
今では、この場所がオーロラ観測のメッカとなっているのです。
しかしなぜ、この付近でオーロラがよく見られるのでしょうか?
オーロラとは、太陽から発せられた電気を帯びた粒子が地球という大きな磁石に吸い寄せられ、大気圏に突入する際に大気中の窒素や酸素と反応して発光する現象です。そのため、粒子を引き寄せる力、つまり磁力の強い北極や南極に近い、緯度60〜70度付近に発生しやすいのです。北緯65度に位置するチェナホットスプリングスは、オーロラ・ウォッチングにはもってこいの場所、ということになるわけです。
ちなみにこのあたりの地域では、オーロラを「ノーザン・ライト(北の光)」と呼ぶのだそうです。
「オーロラ・ブレイクアップ」を見逃すな!
私がチェナホットスプリングスを訪れたのは、オーロラが一番よく見えるという2月上旬のことでした。ここに宿泊している人々は全員、オーロラが目当てです。しかしなにぶん自然現象ですから、いつ現れるかはわかりません。うっかり部屋で眠ってしまってせっかくのオーロラを見逃してしまった! なんていうことがないように、宿には「オーロラ当番」なるものがありました。宿泊客は交代で外に出ては、オーロラの出現を逃さないよう、夜空を見張るのです。そしてオーロラが出たときは、宿のみんなに知らせるのです。すると宿泊客はいっせいに外へ出て、カメラを片手に天空を見上げます。
オーロラは煙突から昇る真っ白い煙のように現れると、扇を広げているかのようにパタパタパタと動いていきます。その動きはとても素早く、地元では「オーロラのダンス」と表現されているのだそうです。
そのダンスが終盤を迎えるころ、オーロラ・ウォッチングのハイライト「オーロラ・ブレイクアップ(オーロラ爆発)」の数秒間がやってきます。緑やピンクといった色とりどりの光のカーテンが激しく揺れ動く様は見事でしたが、「これがオーロラかー」といった、どこか冷静に確認しているような気分で見ていたのを覚えています。やけに構えてしまって、少し肩に力が入りすぎていたのかもしれません。
光の美しさに酔いしれるには・・・
光の美しさは「見ている状況」によって感じ方が変わるもの
1日目、真剣にオーロラを観測し写真もたっぷり撮った私は、ひと夜にしてなんだか満足してしまいました。
そこで、翌日の夜は温泉を堪能することにしました。見渡す限りの銀世界、温水プールから10mほど離れた場所にある露天のジャグジーまで小走りに進むとツルッと転んでしまいました。とっさに立ち上がろうとすれば、今度は、床についた手が貼りついて身動きがとれません。半ばパニックになりかけたその瞬間、ジャグジーに入っていた人々から「ウェルカム!」という声とともに暖かいお湯が飛んできたのです。こんな洗礼を受けてようやく私もジャグジー仲間になれたのでした。ジャグジーの中は格別です。だって、首から上はマイナス30度、首から下は、プラス40度で、これぞ究極の頭寒足熱だからなのですから・・・。ゆったりとお湯につかりながら改めて見るオーロラは、昨日見たものよりも輝きが増していたような気がしました。そして、とても贅沢で最高の幸せなのでした。
光とは、どんな場所で、どんな状況で見るのか、そして誰と見ているかというちょっとした違いによって、まばゆいほど美しくも見えれば、反対に見過ごしてしまうことにもなるのです。オーロラのように至極の光の芸術を目の前にしても、それを感じることのできるシチュエーションが整っていなければ、その素晴らしさを心から堪能することはできないものなのでしょうね。
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三井の住まいへ
オーロラ長年見てみたいと思ってました。
オーロラ当番というのがあるんですね。
みんなに知らせていっせいに見るというのすごく楽しそうです。
シチュエーションが整っていなければ、素晴らしさを堪能できないものなんですね。
わかる気がします