私も去る4月8日(火)に、「光の最先端」を視察するため春のフランクフルトへと旅立ちました。
実は世界的に注目される照明技術の見本市では、世界各地で活躍している同業の知人・友人や照明メーカーの技術者にいっぺんに会えるという楽しみもあったりします。light+buildingを訪れるたびに足を運ぶイタリアンレストラン(ドイツなのになぜかイタリアンなのです)で、彼らと夕食をともにし、その年の傾向や会場を見た感想などについて話し合いながら夜が更けていく、というのも隔年行事のようになりました。
今回は、丸2日かけて大きな会場を歩いて、見て、感じた見本市の模様をみなさんにご報告いたします。
百花繚乱のメッセ会場
東京ビッグサイトの3倍以上というフランクフルト・メッセに約1500社の展示ブースがひしめく展示会場は、2日間という日程でも足早に回らなくてはすべてを見切ることができそうにないほどの規模の大きさです。

会場内の様子。ちなみにここは、ドイツを代表する照明メーカーERCO社のブース。
展示内容としては、ヨーロッパの各メーカーから、遅まきながらLED(発光ダイオード)を光源とした照明器具がだいぶ出ており、少し保守的なヨーロッパの照明文化も変わりつつあるなぁ・・・という感想を持ちました。
アメリカでは10年ほど前にLEDが次世代を担う新光源として注目され、猫も杓子もカラフルに色の変わる照明器具を出品していました。それと比較すれば、随分と時間をかけて慎重にLEDの評価を行ったということになるでしょう。
しかし、ヨーロッパの照明文化はLED照明に圧巻されることなく、キャンドルの蜀台の新しいデザインや、電球を使ったほっとする照明器具なども相変わらず数多く出品されていて、「やはり大人の照明文化がここにはある!」と胸をなでおろしたのでした。
また、毎回ひそかに楽しみにしている、夕方に各ブースでふるまわれる軽食やワインも、メーカーごとに特徴があって嬉しくもありました。ビジネスは人間がいて成立するということを皆が当たり前のように思い、ホスピタリティのプレゼンテーション合戦となってもいるのです。いくつかのブースを回ればいささかほろ酔い気分、これならビジネスマンたちもリラックスして気持ちよく商談を進められるというものです。
街を挙げての照明フェスティバル
ルミナーレのサイトのひとつ。マリア様もLEDでほのかに照らされています。
以前もご紹介しました、フランクフルトの旧市街を中心に開かれるルミナーレは、今年も非常ににぎわっていました。
専用のガイドブックを片手にライトアップされた大聖堂に足を踏み入れれば、キリストや聖母マリアの像がLED照明で薄青色からゆっくりと薄桃色に彩られています。マリア様をこんな風に演出してもいいの? と驚きながら、次なる会場に足を運ぶと、今度は赤みがかったオレンジ色の光で染められた銀行の建物もありました。
確かこの建物は2年前には真っ青になっていたことを思い出し、光は魔法のようなものだなぁと改めて感じます。今年はルミナーレの開催地がフランクフルト市内だけでなく、ヴィースバーデン、マインツ、オッフェンバッハなど、近郊の都市にも広がっていました。このことは、このイベントが毎回、大成功を収めてきたことの証なのだと思います。
昼間はひたすらメッセ会場を歩き、夜は歴史ある町並みと新しいライティング技術のコラボレーションを堪能する。実に興味深い、ヨーロッパ照明漬けの2日間でした。
light+building 2008で感じたこと
「やっぱりヨーロッパはすごい!」
2008年のlight+buildingを視察して感じたことは、昨年から大規模な照明業界の再編が行われいて、業界的に激動の時代が到来しているな、ということでした。
例えばオランダの大手メーカーであるフィリップス社が、LED照明や電飾の制御技術を手掛けるアメリカのカラー キネティクス社を買収したり、日本でもPHシリーズなどで知られているデンマークの照明メーカー、ルイス ポールセン社がイタリアのタルジェッティ社に買収されて、タルジェッティ ポールセンになっていたりという具合です。
これらに代表される照明業界の再編が今後、マーケットにどんな影響をもたらすのか、期待とともに注目したいところです。
フランクフルトメッセ会場入り口には世界中の国旗が立ち並んでいます。
そしてもうひとつ感じたのは、世に認知されて約10年が経つLEDは、技術的なレベルアップを遂げたこともあり、ヨーロッパでもやっと光源として認められてきたということです。10年前に、次世代を担う新たな光源としてアメリカではいち早く商品化されたものの、それは照明器具とは名ばかりのおもちゃのようなものが大半でした。
一方でヨーロッパではこの新技術を噛み砕き、商品に昇華させるまでに10年という歳月を要しました。
新しいものに安易に飛びつかず、時間をかけてじっくりと取り組む姿勢は、さすが“大人の国”だと感じました。
そしてわが国、日本はといえば悲しいかな、照明というフィールドにおいてはまだまだ一般の方々の関心が浅く、相変わらず明るさ一辺倒の感じがしています。フランクフルトからベルギーのブルージュ、そしてアントワープを巡りながら、日本人も、今よりさらに洗練された照明文化を持てるようになったら、さぞ素晴らしいことだろうと思っていました。そして、次回開催の2年後には、その思いが現実のものとなっていることを願いつつ、帰国の途についたのです。
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