一方、欧米では月を愛でるという習慣はありません。
それどころか、うっかり満月を見てしまうと凶暴な狼男に変身してしまったり、不吉な出来事の暗示だという言い伝えもあったりで、特に満月はマイナスのイメージのほうが強いようです。
しかし私たち日本人にとって、夜空に浮かぶ月はとてもロマンチックな存在ですよね。
今回は中秋の名月にちなみ、月明かりについて光のソムリエ的に考察し、また月のきれいな夜の過ごし方について考えてみました。
「月はとっても青い」?
「月がとっても青いから」という歌をご存知でしょうか。
若い人にはなじみがないかもしれませんが、冴え冴えと光る月を見るたびに思わず口ずさんでしまう人も多い菅原都々子さんが歌った昭和の大ヒット曲です。
普通に考えると、月が光るのは茶褐色の月面に太陽光が反射するからだとういうのに、どうして青白く光っているイメージが月にはあるのでしょうか?
高い月は青く、低い月は赤い
同じ日の月でも、時間によって色が違って見えたという経験があるかと思います。
じつは、高く昇っている月ほどその光は青みを増し、低い位置にある月ほど赤みを増すものなのです。
月の光は太陽光を反射したものであり、さまざまな色の光が混ざり合っています。
以前「
“光の隠し味”で秋の味覚を楽しむ」でもご紹介したように、
太陽光はプリズムによって分光(光の成分を分ける)すると、波長の違う7色の光に大きく分けられます。
その色は波長の短い順に、紫・青・青緑・緑・黄・オレンジ・赤 と分けられるのですが、波長の短い光ほど、大気を通り抜けるときに水蒸気やチリなどに拡散されやすい性質があるのです。
高い位置にある月の光に比べて、低い位置の月の光は大気の層を通り抜ける距離が長くなるため、紫や青といった波長の短い光が拡散されて失われてしまい、黄色やオレンジ、赤といった、波長の長い光だけが私たちの視覚に届いてくるのです。
高々と頭上から私たちを照らす月ほど、青白く光っているわけなのですね。
夜になると青がはっきり見える
月が青白く見えるのには、さらに奥深い理由があります。
それは“プルキンエ現象”という、人間の目の働きによる現象です。
私たちの目は日中の明るい時間には、緑の波長の光に明るさを強く感じるようにできています。しかし夜になるとそのセンサーが青に偏ります。
例えば新橋駅のガード下から山手線と京浜東北線を見比べてみてください。
ちょうど陽が暮れる時間帯がベストです。
最初は、グリーンの車体の山手線がはっきりと見えていますが、日が落ちてしまうと、次第に京浜東北線のブルーの車体のほうが俄然精彩を放って見えるはずです。
(これが“プルキンエ現象”というもので、私もこの仕事をはじめてすぐに、このことを知ってますます、照明の世界のことが好きになったのです!)
つまり、夜が更けてからの人間の目は青い光を強く感じるため、夜空に浮かぶ月も、実際以上に青白く見えるのです。
秋の夜長、光のソムリエ的な
月見の宴を開こう!
日が暮れたら自宅の庭、もしくはテラスに椅子とテーブルを出し、お気に入りの盃と日本酒を用意してみてください。そしてしばらくは、友人やパートナーとおしゃべりしながらお酒を楽しみましょう。
やがて、月が高く上がった頃合いを見計らって、盃になみなみと注いだ日本酒に、青白い月を映しこみます。
盃をそっと持ち上げて、月と盃のおりなす角度と同じ角度になるように目の位置を調整してみてください。
いい感じで盃に月を浮かべたら、それを見失わないようにゆっくりと口元までもっていき、ぐいっと一口、“月を呑む”のです。
なんとも雄大な気分になってくるではありませんか?
“月を呑む”・・・
明日からの自分にもよいツキがまわってくるような、少し嬉しい気分です。
(この月見の宴、酒豪の友人のアイディアを私がレシピ化したもので、私は試したことがありません。ごめんなさい・・・。秋の夜長には、たいてい仕事に追われていますし、その上、私は日本酒が苦手なんです・・・。)
そこで、お酒が苦手な方々への別のレシピも考えました。
そう、お茶に月を映しつつ、「萩の月(宮城)」や「越後の月(新潟)」、「瀬戸の新月(香川)」、「薩摩の華月(鹿児島)」などなど、全国各地の月の銘菓を食べ比べて楽しんでみようなどというのはいかがですか?
パークホームズ四谷三丁目アーバンレジデンス(販売済)
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