光の芸術から刺激を受けよう

旬なモダンアーティスト、オラファー・エリアソン

先月は読書の秋ということで、私の愛読書をご紹介しました。
今回は“芸術の秋”とテーマを変えて、光を操るモダンアーティスト、オラファー・エリアソンについてお話したいと思います。

オラファー・エリアソンは1967年、デンマークのコペンハーゲンで生まれたアイスランド人で、現在はベルリンで暮らしています。

特定の場所に設置するために製作された作品を指す「サイトスペシフィック・アート」で知られる彼ですが、世界的に有名になったのは2003年にロンドンの「テート・モダン」に展示された、『ウェザー・プロジェクト(The weather project)』がきっかけでした。
天井高35mという巨大な空間で、強烈なオレンジ色の光を放つ“沈まない太陽”を披露したのです。
さらに今年6月には『ニューヨークシティ・ウォーターフォール(The New York City Waterfalls)』というインスタレーションで、ニューヨーク市内に4つの人工滝を出現させ、話題となっています。 (10/13まで公開中)

自然現象をダイナミックに表現

私が実際にオラファー・エリアソンの作品を見たのは3年前。
2005年11月から2006年3月まで東京都品川区にある原美術館で開催されていた「オラファー エリアソン 影の光」という展覧会でした。

2005年に原美術館で行われていた「オラファー エリアソン 影の光」の広告。
資料提供:原美術館(外部サイトへ)
そこで最も感銘を受けたのは、
『美(Beauty)』(1993)という作品です。天井から霧雨を降らせ、そこに光をあてると虹が出現します。
「偶然に起こる自然現象をこれほどまでにダイナミックに再現し、体験させてくれるとは!」と思わず時間を忘れて見入ってしまったのです。
噂を聞いてかけつけた展覧会でしたが、これほどまでに心を揺さぶられたのは久しぶりでした。

そのほかにもシンプルな輪の影が宇宙をほうふつとさせる『空間を包み込むもの(Your space embracer)』(2004)や、オレンジ色の光に満ちた空間の中で、自分たちの手や顔、洋服などすべてが無色彩に見える『単色の部屋と風が吹くコーナー(Room for one colour and windy corner)』(1998)など、充実した時間をたっぷりと楽しんだのです。

オラファー・エリファソンを好きな理由

以前、「光のアーティスト、ジェームズ・タレル」でも述べたことなのですが、
光を使って漠然ときれいなものを作るアーティストはたくさんいます。しかし「光は美しいでしょう!」という情緒的なとらえ方で留まっている作品は、人の心を強く揺さぶる力に欠けているように感じます。
なぜなら光は美しくて当たり前なのですから、それを理解し、さらに魅力を伝えられる作品でなければならないと思うからです。
オラファー・エリアソンとジェームズ・タレル、作風は違っても彼らはしっかりとした科学的な光の知識と技術を持った上で、作品を作り上げている。そして光の現象を軸にし、空間を表現した作品には、まやかしではない力強さを感じます。

人を感動させる光ってどんな光?
日頃から目を養っておこう

光のアーティストの展覧会の話をすると、「作品で感じたことを照明デザインに反映することはあるのですか?」と聞かれることがありますが、アーティストとは自分が思い描いたことをゼロから表現する人々です。
一方で照明デザイナーは、与えられた空間に対してベストな答えを導き出すのが仕事。
ですから見たものをそのままデザインに取り入れることは残念ながら不可能なことなのです。

でも、アーティストたちが自由に表現した光のインスタレーションを見ていると、「こんな方法もあったのか」、「もっと自由にデザインしてみてもいいのではないか」とインスパイアされるわけです。
私がこうした展覧会に行く動機は、どうもこのあたりにあるようですね。

みなさんも、この秋は“どんな光が人の心を動かすのか”を意識して、興味のあるアーティストの展覧会に足を運んでみてはいかがですか。
刺激的な光の芸術は、自宅の照明を考えるときにも、独創的で豊かな光を作るヒントになるはずですよ。
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