
堂々たる蔵の大扉。
美しい日本のデザインです。
皆さまはお蔵に入ったことがおありでしょうか。厚い土壁でできた土蔵は、夏はひんやりと涼しく、冬はほっこりと暖かく、なかなか快適です。私の家にはたくさんのお蔵がありますが、そのお蔵を改造して居住空間にしたいというのは、私の長年の夢でした。このたびその夢をかなえることができたので、いち早くご覧いただきながら、お蔵改造のお話をいたしましょう。
お蔵というと、「貴重品の物置」というイメージかもしれませんが、今回改造したお蔵は、畳が敷いてある「座敷蔵」でした。座敷蔵は人が暮らせるように作られているので、とりわけ造りが立派です。この蔵は内部が総ケヤキ造りで、材も厚く、とてもがっしりと造られています。私の祖母は、夏になるとこの蔵に寝起きしておりました。どんなに暑い日でも蔵の中は24、5度ぐらいで、屋敷の中の「避暑地」といったおもむきでした。
その祖母も亡くなり、長い歳月の間にこの蔵は「物置」になっていました。しかし、白く美しい大扉をもつこの蔵を物置に使っているのはもったいないので、日常の延長で使える蔵に改造することにしました。改造のポイントは、廊下を設けて主屋とつなげること、大扉の前の空間をゆったりととって、ガラス張りの気持ちのいい前部屋のようにすることです。廊下は単に通り過ぎる場所ではなく、ここ自体が快適な空間になるように、2.2mとたっぷりの幅をとりました。

改造前の座敷蔵。
造られたのは200年前と伝えられています。

改造後の座敷蔵と廊下。
工事には3か月かかりました。

主屋から見た廊下と蔵の入り口。
気分のいい廊下を目指しました。
この廊下のデザイン、設計をしたのは夫のシェンです。物理学者である夫は、若い頃建築家を志したことがあり、いまでも趣味で楽しそうに建築デザインをいたします。この廊下は、位置のずれている主屋とお蔵の入り口をどのようにつなぐか、内でも外でもあるようなほどよい開放感をどう表現するかが考えどころで、何度も設計図を書き直しました。外壁ははじめ白一色のつもりでしたが、お蔵の佇まいとなじませるには、落ちついた色を腰壁のように塗った方がいいと思い直し、屋根瓦のようなシルバーとのツートーンにしました。できあがった今は、ああしたら、こうしたらと話し合ったプロセスすべてが楽しい思い出です。
近所にも醤油蔵をコンバージョンした、お洒落なセレクトショップがあります。とっても素敵ですよ。
座敷蔵というものもあるのですね。はじめて見ました。ここで、台好きなフェイ・ウォンを聴きながら、源氏物語などを読んでみたくなりました。
Posted by 陸奥B子 at 2005年08月17日 07:21