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2007年3月16日
staff blog.
ネーミングと複雑系について
こんにちは。まーきゅりーです。
前回、人生の志を決めますというお話をいたしました。
どうしようかな・・と考えているうちに、2月に次女が誕生いたしました。予定日より、2週間ほど早く生まれたものですから、名前を決めるプロセスで、かなりバタバタしてしまいて。今回はそのお話です。上の子が「菜央(なお)」なので、どちらかの漢字を継承したかったということもあり、いくつか候補があがりました。その時、ふと思ったことがあります。
昨年、養老孟司さんの講演を聴く機会があり、その時のエピソードです。
「親につけられた名前」=「それは自分のことだ」と認識するのは、「人間」だけである、ということを強く再認識しました。
どういうことかというと、たとえば、ペットのワンコやニャンコは、「自分が『ポチ』『タマ』であること」を認識していないんですね。飼い主の方や、他の家族の方が発する、「ポチ」や「タマ」の、「音階・音質」で、「あ・・俺のこと?」という認識をしているらしいです。つまり、飼い主のAさん、飼い主のだんなのBさん、その息子のCさん、娘のDさん、は全員「ポチ」「タマ」と呼ぶのですが、ワンコ・ニャンコ側は、Aさんが呼ぶ「ポチ」の「音」、Bさんが呼ぶ「ポチ」の「音」、Cさん、Dさんが呼ぶ「ポチ」の「音」を、別物として「俺のこと・・」と認識しているらしいのです。
つまり、すべてが、ONE to ONEの関係なんですね。「人間」はそこに、「この名前はあなたのこと」という「概念」で「秩序」を創造できる唯一の存在。あらためて、人間の「能力」について再認識しました。 で、最終的には、次女は「莉央(りお)」になりました。「菜央(なお)」の菜と莉は、お花の名前つながり。菜の花と、茉莉(ジャスミン)です。央は中心でいる状態。という意味でございます。

ついでに・・最近、久々に、10年前に買った、「複雑系」(外部サイトへ)の本を読み返しました。アメリカのサンタフェ研究所で研究されている「複雑系」についての訳書です。たとえば・・・

■ソ連の40年間にわたる共産主義の崩壊が、1989年のわずか数ヶ月のうちに起こったのはなぜか?さらにその2年後に、ソ連自身が徹底的に解体してしまったのはなぜか?ゴルバチョフやエリツィンという人物が関係しているのは事実だが、彼らの事態収拾能力をはるかに超越した出来事が連続していた。そこには個々の人格を超越した何かが存在していたか?
■1987年10月のある月曜日、たった一日で株式市場が500ポイントも下落したのはなぜか?コンピュータ化した株式取引が原因という説があるが、コンピュータ化していたのはもっと以前のこと。その急落が、その月曜日に起こった特別な理由はなかったか?
■バングラディッシュのような国の農村家庭は、産児制限が十分に行なえるはずなのに、自国の爆発的な人口増加が、発展停滞の原因であると自覚しているにもかかわらず、なぜ、平均7人の子供を産むという振る舞いを続けているのであろうか?
■6億年ほど前に、なぜ個々の細胞が合体を始めたのか?そして、海草、クラゲ、昆虫、最後は人間という多細胞生物を生み出したのか?そして、人間はなぜ時間と労力を費やして、家族、部族、国家、といった様々な形態を生み出す必要があるのか?進化の定義が、「適者生存競争」であるならば、「個人間の争い」とは矛盾する「信頼・協力」なるものが、なぜ存在するのか?
■ビデオデッキの、VHS VS ベータにおいて、技術的には優れているといわれたベータではなく、なぜVHSが世界標準=(ロックイン)となったのか
■もともとは、あえて使いにくいように配列されていた、タイプライターの英字の配列。あまり高速でタイプされると機械が壊れやすいから、という理由で配列された「QWERTY」式。(キーボード上部のアルファベットの順)これがなぜ、世界標準=(ロックイン)の配列として使われているのか。

などなどの、全く無関係に思える「事象」において、「統一的な説明」を追求するというのが、「複雑系」の研究です。10年前は、「なんとなくさもありなん・・」というくらいの感覚でしたが、今はとっても共感度合いが高い自分に、興奮してます。「すべての事象は変化し、生きていて、学習し、パターン化し、崩壊し、再度構造化されていく」というおおきなシステムの中においての「そもそもの構造」を探求しているわけですが、とても興味深いです。中でも、「ロックイン」のプロセスは、我々の事業やビジネスに深い関わりがあると思います。何か結論があるわけではありませんが、最近とても興味深い「複雑系」です。
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『複雑系』の人達が描く「QWERTY配列の歴史」は、実際の歴史と全くあってない部分が多いので、眉にツバをつけて読まなきゃならないなぁ、ってのが私の正直な感覚です。たとえば、1873年当時、Christopher Latham Sholesは『Milwaukee News』の編集長をつとめていて技師などではありませんし、彼のタイプライターを商用化したのはE. Remington & Sonsで、Remington Sewing Machine Companyとは別の会社です。詳しくは私のhttp://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/publications.html の『QWERTY配列再考』をごらん下さい。


投稿者: 安岡孝一 (2007年3月17日)
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