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発想の転換で生まれる個性派集合住宅
【語り】三井不動産レジデンシャル株式会社 担当:高橋氏
都心部から約15km圏の距離にある市川妙典は、住みよい「文化都市」を目指して区画整理事業が行われていた新しい街です。2000年に開業した東西線「妙典」を最寄駅とし、この街に誕生した『パークホームズ市川妙典ファイブ(2004年竣工)』は、全19戸という比較的小規模の集合住宅ながら、表情豊かな建築意匠へのこだわりをもった住まいとなりました。 「新しい街にふさわしい住まいを」と考えぬいた開発者から、その発想の工夫について伺いました。
白・ベージュ・青・藍色と外観フォルムの色調の変化が印象的ですが、どういった発想から生まれたのでしょうか?
高橋 氏
三井不動産のマンションは明るめのアースカラーが外観に多く使用されていますが、市川妙典という新しい街にマッチするようにとあえて異なる、スタイリッシュでコントラストの強い特徴的な色彩を選んでいます。また、南と東に建物の配棟が分かれていたため、色調の変化で2つの建物のように見える工夫をし、小規模ながらも他の建物とは違った印象を受けるようにオリジナリティや存在感を演出しました。
集合住宅の場合、もともとの土地の形状で造れる建物と造れない建物があったとしても、外観などではどこにも負けたくないという想いが個人的にはあったんです。住まう方が、自分の家と誇れるものであってほしい、歩く人々の目にとまるものであってほしいと。
側面が変わると、まったく異なる建物のように表情が変化する色彩豊かな外観フォルム
多くのタイルやブロックによって建物の表情に変化を演出しているようですが、具体的にはどんな工夫がありましたか?
高橋 氏
タイルそのものは内外合わせて10種類程度でしょうか。色や大きさ、形とその使い方の違いによって、外観にメリハリとアクセントをつけています。たとえば、エントランスの左手には藍色の爽やかな色合いのタイルで、スリットを配したデザイン意匠にし、個性的で洗練された印象を受ける工夫をしました。バルコニーには穴の開いた通風ブロックで格子模様を描くことで「和」の雰囲気と見た目のアクセントとなるようにしました。
日本の伝統色「藍色」をバックに、凛とした「竹」が清々しさを演出したエントランス
上:バルコニーの穴あきブロック、
下:ピンコロ石の外構
実は、『パークホームズ市川妙典ファイブ』を手がける前に戸建住宅を担当していた時期がありました。そこで、比較的小規模だったこの物件では、外観や外構など様々な部分で戸建の発想を採り入れてもらったのです。
マンションの外構部分はコンクリートを用いることが一般的ですが、この物件では、重厚感や個性がでるようにとピンコロ石という立方体でやや不揃いの石を積みあげて全体を取り囲んでいます。
この石は、ヨーロッパの石畳の道路などでよく見かけるもので、日本では戸建住宅の外構に造られる花壇や駐車スペースの敷石・庭造りなどで使用することが多く、マンションではあまり見かけないものでした。
戸建住宅の発想は、ほかにどんな部分で活かされていましたか?
高橋 氏
エントランスホールの中庭です。住む人も、訪れる人も「和み」を感じていただける空間をと、「水辺」をコンセプトにしました。しかし、実際の水を流すことは管理などの面から難しかったため、大谷石(※)の切石を斜めに配し、曲線との組み合わせで水の動きを描きました。大谷石は、はじめは白く、時とともに渋みが増して味わいが出るのが特徴です 。また、中庭は建物の外構の壁と、建物自体に挟まれるというポジショニング上、陽があたりにくくなることから、植栽の選定にも苦慮しました。
これらを考える際、戸建住宅での採光のために設けられる光庭(ライトコート)やテラスなどの発想が活かされていたと思います。

※大谷石:栃木県宇都宮周辺で採掘されていた凝灰岩(火山灰が固まってできた岩石)のこと
広さや場所などの制約を逆手にとって、石と植栽の演出で雅趣に富んだ潤いのスペースを創造
住戸プランについても何か特徴的なことがありましたら教えてください。
高橋 氏
水廻りに関して、松下電工(株)とともに新しい取り組みをしました。浴室には、正面と両サイドの壁に異なる色を採用することで、全体が白い空間と比較して、コントラストがはっきりしシャープな印象を与える演出をしました。また、洗面台にはボール一体型のカウンターを首都圏で初めて採用しました。45度のスロープ形状で、水滴も残りにくくお手入れが簡単。毎日使う場所には大切なことですよね。
細部にわたって、考えることでのご苦労はないですか?
高橋 氏
ひとつひとつの細かい部分を考えることは大変ですし、物件の規模が大きくなればその難易度は上がります。でも、いつも自分自身が住んだ時にどう感じるかを基本に考えています。それは実際に暮らしていただく人が感じることであり、だからこそ、常に考え続けていきたいと思っています。
創り手の発想と柔軟性によって、住まいのカタチは様々に変化しますが、それらは住まう人がどう感じてもらえるのかという原点があってこそ生まれてくるものなのでしょう。
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